KANEYANの秋田ぶらり旅

KANEYANが秋田県内の各駅を回りながら綴るNONSTOP AKITA DIARY

#8【歩き旅】【JR五能線】「日本海を見ながら秋田最北端の岩舘駅を目指す五能線ぶらり旅」とは?

■早朝の白瀑神社から岩舘駅を目指す五能線ぶらり旅

終電、早っ!

 

スマホでJR五能線の岩舘駅から秋田駅までの終電時間を調べていたら、思わず声を出してしまった。当日中に秋田駅まで戻るには15時36分に岩舘駅を出発せねばならない。鉄道不毛地帯・秋田の終電時間の早さを見くびってはいけないことは知っていたが、五能線の運行本数はことさら少ない。今回の目的地であるJR五能線の岩舘駅は秋田最北端の地であると同時に日本海に面しているため、駅周辺の居酒屋に立ち寄って旨い魚で一杯という俺の浅はかな計画は見事にJR東日本からカウンターパンチを食らった格好である。それどころか呑気に昼近くにでも秋田を出発した日には旨い魚どころか、何もできずあっという間に終電である。

 

じゃあ始発でいっちゃう?

 

そんなわけで俺はようやく陽が昇った朝6時過ぎに秋田駅を飛び出し、東能代駅で通学途中の学生に挟まれながら五能線に乗り換えた。そして朝8時前に「東八森駅」に到着した。今冷静に振り返ると見事なまでの暴挙であるが、その日の天気の良さも手伝って、朝の東八森駅の空気は悪くないと思った。これはきっと良い一日になるぞ。そう、自分で自分にそう暗示をかけるところから、この旅は始まるのである。

 

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今回は現在地の東八森駅から4駅先の岩舘駅を目指す旅である。冒頭でも触れたように秋田の酒飲みの端くれとしては日本海の旨い魚で一杯やりたいところであるが、さすがにまだ朝の8時である。いくら秋田の酒飲みの端くれといえどもここは酒を我慢し前回の旅で立ち寄れなかった白瀑神社に向かうことにした。

 

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朝の神社はより厳粛な雰囲気が漂っているものである。ひとまず俺は石段を登り参拝を済ませると近くに設置されていた公衆トイレで用を足した。トイレは意外にも洋式である。……って、神社の感想がまさかのトイレについてとは、この36歳の信仰心のかけらもない旅人もどきに神様はどう思うのだろうか。

 

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神社の裏手に回ると、瀧を拝むことができた。豪快さはないが神社の荘厳な雰囲気と相まって威厳を感じる。

 

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日本海を一望できる八森のオシャレな食堂とは?

白瀑神社で参拝と瀧見学を終えて再び国道を歩いていると道沿いに日本海が顔を出した。

 

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花輪線の山旅から一転して、今度は日本海沿いの旅である。海の匂いを感じながら次の八森駅を目指した。

 

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程なくして八森駅に到着した。八森駅はユニークな作りになっており、駅のホームに行くには年季の入った木造の回廊を通る必要がある。

 

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ばっけというのは、いわゆるフキノトウのことであるが、誰かが駅のフキノトウを勝手に取っていくのだろうか。

 

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フキノトウ泥棒と勘違いされては困るので、駅見学はこれくらいにして近くの海が見える食堂で昼飯を食べることにした。

 

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実はこの八森地方はあわびの養殖が盛んのようである。やはりここは名物のあわび御膳に目が行くが、2,000円とやや高額のため、1,000円のお魚ランチを選択した。酒飲みは酒においては金に糸目を付けぬものだが、普通の飯を食べるときは非常にケチなものである。

だがこのお魚ランチを甘く見てはいけない。アマダイの煮つけをメインとして、非常に品数も多く、海が見えるロケーションも手伝って、なかなか優雅なランチタイムを過ごすことができた。

 

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腹が膨れたところで、歩き旅の再開である。引き続き日本海を見ながら、ぶらぶらと五能線沿いを歩く。朝は肌寒かったが、昼頃には半袖でも良いぐらいの晴天である。

 

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滝ノ間駅に到着した。比較的高台にある駅で海を見渡せる最高のロケーションかと思いきや、付近が墓地であり、それが見事なまでに観光気分を緩和させるパワーを放っている。俺もそそくさと退散せざるを得なかった。

 

 

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次のあきた白神駅は個人的に一度は乗ってみたいリゾート快速列車「リゾートしらかみ」の停車駅である。駅に到着すると、ちょうどその「リゾートしらかみ」が停車していた。オシャレなリゾート列車を遠巻きに眺めながら、己の生産性の無い旅が少しだけ寂しく思えた。嫁と子供を連れて電車旅など最高だろうな。そんなことを思いつつ、あきた白神駅に隣接している施設「ハタハタ館」のベンチに腰を下ろした。時に一人の旅は寂しいものである。

 

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ちょうど10分後に岩舘行きの電車が来るところだったため、あきた白神駅から岩舘駅までは五能線を利用することにした。あきた白神駅には秋田しらかみ中央管理センターなる観光案内施設が併設されており、そこで切符も買うことができるようだ。

 

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「観光ですか?何もないところですけど大丈夫ですか?」

 

窓口のお姉さんに苦笑いされてしまった俺は思わず「全然大丈夫じゃないっス」と返しそうになったが、岩舘駅で旨い魚で一杯やれば、それはそれでこの生産性がまるで無い旅も、一応は成功の部類に入れても良いように思った。そう、全ては旨い魚である。頼むよ、岩舘。

 

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リゾート快速列車と比べると、年老いて所々くたびれている五能線鈍行列車に乗り込み、岩舘駅へと向かった。

 

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 ■秋田最北端の駅・岩舘駅と日本海を一望できる「チコギ灯台」とは?

いよいよ本日の目的地・岩舘駅に到着した。まだ終電まで少し余裕がある。早く酒を飲みたい気持ちもあるが、ここはひとつ秋田最北端の地を存分に感じたいと思った俺は日本海を間近で眺めてみようと「チコギ灯台」に向かうことにした。

 

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駅から国道に出て、灯台を目指す。途中、荒れた日本海を凌駕する豪快な落書きを発見した。

 

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タケ丸の熱いメッセージを受け取り、歩き進める。灯台までは徒歩20分。それほど長い道のりではないのだが、この落書きを超えると途端に雲行きの怪しい状況に陥った。

 

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まさかの山火事と熊のダブルパンチである。先日訪問した鹿角市が屈指の熊登場スポットであったが、ここ山本郡八峰町も熊が現れるようである。熊登場大国・秋田を歩き回るのも容易ではない。そう思っていた矢先、今度はこの看板が登場した。

 

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猿って。

猿って。

大事なことなので2回言いました。まさかの山火事・熊・猿の恐怖の三冠王である。野生の猿を見くびってはいけない。志村どうぶつ園とかに出てくる人懐こい猿とはワケが違う。出会った日にはレイプ魔の如く襲い掛かってくるに決まっている。勘弁してくれ。当然だがこんな道を歩いている人はいない。車もほとんど通らないため、いざという時のヒッチハイクもままならない。

 

もはや千鳥足で恐怖の国道を歩いていると、ようやく灯台が見えてきた。

 

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秋田最北端の地で見た日本海の波は穏やかだったが、山火事・熊・猿の恐怖の国道を潜り抜けてきた俺は別の意味で激しく波打っていた。この激しい胸のうねりを静めるためにそろそろ酒である。酒を飲みたい。

 

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■岩舘のソウルフードイカ焼き」とは?

灯台を後にして、再び駅の方面に向かって歩いた。国道は野生のアニマルが怖いため今回は海沿いの道を選んだ。中学生ぐらいの女の子が海に向かってフルートを吹いていた。のんびりした街である。

 

また、ここ岩舘エリアのソウルフードは「イカ焼き」のようである。だが夏が終わっているせいか、もしくは何年も前に閉店しているのか定かではないが、海近辺のお店はこぞって営業している気配がない。

 

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ここまで来てただ海を見て帰るのでは今日の日本海のように普段は心穏やかな俺も、海に向かって暴言のひとつでも吐いてしまいそうだ。ここはどうしてもイカ焼きを食べたい。いや、食べねばならない。スマホで調べてみると駅近くに1軒だけ営業していると思われる店があるのだが実際に行ってみないと真相は分からない。

俺は祈るような気持ちで恐る恐る店に近づいてみた。店先にイカが干してある。営業しているようである。

 

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先ずは瓶ビールを注文し、気さくなお母さんにイカを炙ってもらう。この店ではイカ焼きだけではなくラーメンなんかも食べることができる。イカ焼きをテイクアウトしていく人もいた。

イカを待っている間つまんで」とお母さんが焼きたこをサービスしてくれた。たこ焼ではなく、焼きたこである。店内には芸能人のサインが飾ってあった。なぜかムーディー勝山である。

 

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炙りたてのイカ焼きを食べながら考えたことがある。誰しもが一度は考えたことがあると思うが、人生最後に食べるとしたら何を選ぶかである。俺は堂々とイカ焼きを選択したい。もちろん炙りたてで、瓶ビールもセットでなければいけない。マヨネーズもお願いしたい。そんな気持ちを胸に終電の五能線に乗るため、小走りで岩舘駅へと向かった。歯に挟まったイカを気にしていたら、危うく終電を逃すところだったのである。

 

そして人生最後に食べるとしたら何を選ぶかについて、一点訂正を入れたい。イカ焼きで一杯やった後にぜひともラーメンを食べたい。けして先ほどの店でラーメンが美味そうだったのに、時間がなくて食べれなかったから言っているのではないが……。

 

さて、花輪線に続いて五能線沿いを彷徨い歩いたKANEYANの秋田ぶらり旅。電車の関係でラーメンを食べれなかったことが未だに心残りだが、ここ秋田最北端の地にて、ひとまず五能線に別れを告げて、次回は秋田の中心・秋田駅から北に向かって奥羽本線の旅に出てみようか。

 

続く。