KANEYANの秋田ぶらり旅

KANEYANが秋田県内の各駅を回りながら綴るNONSTOP AKITA DIARY

#12 【歩き旅】【JR奥羽本線】「独り身の孤独なポエムを奏でながら恋文の街・二ツ井を目指す旅」とは?

■未来の嫁を探す旅

彼女がほしい。

 

考えてみたら俺はもう36歳である。同年代の人を思い浮かべてみよう。二十歳で子供ができた人は、もう既に高校生の子供がいることになる。マジかよ。怖い。同年代の人たちが子供の進路について真剣に考えているころ、俺はエロ自販機の場所を真剣に探している。怖い。震えるほど怖い。ちなみに俺は今実家暮らしである。36歳の実家暮らし。ご飯の用意や洗濯はすべて母親にやってもらっている。お母さん、ありがとう。だけど怖い。吐き気がしてくるほど怖い。むしろここ最近はおかんとしかまともに会話をしていない。怖い。涙が出るほど怖い。こんなはずではなかった。人生計画では遅くとも二十代の後半には結婚し、30歳には子供ができている予定だった。本来ならば今頃小学生になる娘と毎晩お風呂に入るのが楽しみの良きパパだったはずだ。……って、架空の娘とお風呂に入ることを想像している自分が何より怖い。

 

ダメだ。旅に出よう。自分探しの旅。……って、自分を探している場合じゃない。もうそんな年じゃないだろ。彼女を探そう。将来の嫁を探そう。もしかしたら旅先で出会いがあるかもしれないじゃないか。

 

俺は意気揚々とJR奥羽本線に乗り込んだ。今回は前回の旅で最後に立ち寄った森岳駅の隣駅である「北金岡駅」から4駅先の「二ツ井駅」への旅を算段した。元々このBLOGのテーマは「俺の知らない秋田を探す旅」だが、そこに「俺の知らない未来の嫁を探す旅」も加えることにしよう。そんなことを思いながら俺は今回の旅の出発点である「北金岡駅」に降り立った。

 

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北金岡駅に降りた瞬間、不意に鳥肌が立ったのは秋風が体に染みたからではない。とにかく人がいないのである。だがここで立ち止まっていても埒が明かない。ひとまず俺は次の「東能代駅」を目指して歩いてみることにした。

 

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だが歩けども、歩けども、人と出会わない。それどころかコンビニも飲食店もある気配がない。あるのはお墓ぐらいである。

 

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歩いている人はいないのに、お墓はたくさんある。もはやここはあの世なのだろうか。

 

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黙々と歩いていると、あるものを発見した。エロ本である。

 

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雨に濡れたエロ本をチラ見する。激カワJKクライマックス。なかなか熱いタイトルだぜ。いやいや、繰り返すが俺は36歳である。道に落ちているエロ本をチラ見して許されるのは20年前までだ。怖い。自分が怖い。そんな俺をパトカーがいぶかしげに追い越してゆく。危うく捕まるところだった。

 

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人はいないのに、熊は出るようである。マッチングアプリで近くに住む可愛い女の子と出会う確率よりも、街を歩いていて冬眠前の腹を空かせた熊とマッチングして食い殺される確率のほうがはるかに高い。これが秋田クオリティである。

 

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歩き進めていると、ようやく病院で人を見かけた。人が集まる場所といえば病院。これが秋田クオリティである。と、ひととおり秋田をディスりながら、東能代駅に到着した。

 

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 ■人形道祖神鶴形金比羅宮、そして再び出会った大人の秘密基地「おもしろ館」とは?

以前はここ東能代駅から五能線で北に向かって旅をしたが、今回は奥羽本線で東に向かい二ツ井方面を目指す。先ずは東能代駅で切符を買い、隣駅の「鶴形駅」へと向かった。

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なかなか年季が入った駅舎だが「鶴寿会」という地元のボランティアグループが清掃を行っているようである。ここからはまた徒歩で次の富根駅を目指すことにしたのだが、途中で謎の人形と目が合った。

 

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もはや良いやつなのか悪いやつなのか判別がつかないルックスであるが、後から調べたところ人形道祖神と言い、いわゆる地域の守り神のようである。そのへんの子供が作った工作を不法投棄しているわけではないようだ。ここ能代市鶴形ではこういった人形が街中に数体存在しているようである。

 

さらに歩き進めていると「鶴形金比羅宮」の看板を発見した。考えてみると今回の旅において全く観光スポットらしいものを見ていない。見たものと言えば道に落ちていたエロ本ぐらいである。ここはひとつ観光スポットのひとつでも紹介せねば格好がつかない。

 

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小さく「きけん」と記された看板が、やたらに恐怖感を植え付ける。完全に熊登場スポットである。しかも神社までの道のりは急勾配なオフロード。命懸けの参拝である。

 

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冬目前の11月だが汗をかきながら何とか階段を登りきる。帰り道に熊と出会わぬよう祈りつつ、また道を引き返す。観光名所の紹介も楽ではない。

 

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国道に出て、次の「富根駅」を目指して歩いているとまたもやあいつと出会った。そう俺の青春の象徴・エロ自販機である。

 

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中に入ってみると、エロ本やエロDVDのパッケージが散乱していた。まったく。これでは鶴形駅を清掃してくれている「鶴寿会」もプンプンである。……と思いつつも、落ちているDVDのパッケージを拾ってみる。って、エロ自販機の隅に落ちているDVDを拾う36歳はもはや懲役レベルだ。

 

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 ■地元民に愛されるオール500円の食堂「かあちゃん」とは?

そそくさとエロ自販機「おもしろ館」を後にして、再び国道を歩き始めた。もうお昼の12時を回っている。そろそろ昼飯と行きたい。スマホで調べてみたところ、ちょうど富根駅付近に1軒だけ食堂があるようだ。

 

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ここ「かあちゃん」はその名の通り高齢のお母さんがひとりで切り盛りしている地元の人気店で全てのメニューがなかなかのボリュームでオール500円と安い。俺はハンバーグ定食を注文した。ちなみにこの店の名物は超ボリューミーなから揚げ定食のようである。

 

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ハンバーグに目玉焼きが二つのり、その上にソース。そしててんこ盛りのご飯。不味いわけがない。そろそろ糖質を控えねばならない年ではあるが、育ち盛りの中学生のようにご飯をかきこむ。旨い。これで500円である。平日ではあったが次々とお客さんはやってくる。能代郊外の地元民に愛されて、今日もかあちゃんは飯を作る。俺たちのために。

 

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満腹になったところで、富根駅から再び奥羽本線に乗り本日の目的地である二ツ井駅へと向かった。

 

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ここ能代市二ツ井町は以前「きみまち恋文全国コンテスト」なるイベントを行っていたようで、その名残なのか駅前の商店街を歩いているとやたらと「ハート」が目立つ。

 

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ご休憩にどうぞ。だがけしてラブホテルではない。

 

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駅から少し歩くと「きみまち阪公園」という観光スポットがあるようだが、秋田の観光スポットのしょうもなさは前回の旅で森岳温泉郷の「カッパの足湯」が証明している。しかもこれから天気予報は雨模様である。俺は観光スポットに向かう者とは思えない重い足取りできみまち阪公園を目指した。

 

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 ■恋のパワースポット「恋文ポスト」と「恋文神社」とは?

前述のとおり「きみまち阪公園」については正直あまり期待していなかったのだが、森岳温泉のカッパの足湯とは比較にならないほど、なかなか立派な公園だった。残念ながらコロナの影響で「きみ恋カフェ」という休憩所こそ営業していなかったが、投函するとハート型の消印が押される「恋文ポスト」や恋のパワースポット「恋文神社」などなかなか見どころのある公園である。

 

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公園を散歩をしながら俺はふとこんな妄想をした。

 

俺は今公園を歩いている。隣には今年結婚したばかりの妻。新垣結衣に似ている。

「紅葉、きれいだね」

結衣は言った。

「そうだね」

俺は最近飼い始めたばかりのトイプードルのリードを持ちながらそう返した。

「あら、可愛いワンちゃんね」

散歩をしていた地元のおばちゃんが声をかけてくる。

トイプードルはそんなおばちゃんを無視して木陰に隠れてウンチをし始めた。

俺は「本当に困ったやつなんですよ。誰に似たんだか」と言いながら苦笑いを浮かべた。「きっとあなたね」結衣はそう言って笑った。

 

ああ、寂しい。いつかこんな日が来るだろうか。俺は恋文神社の前で、願いをこめた。

 

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旅先で出会いがあるかもしれない。俺はそんなことを思っていた。だが俺は今日女性と出会うどころか富根駅の食堂のお母さんとしか会話をしていない。

 

「どこかにいいひといないかな……」

 

俺は恋文神社に向かって小さくつぶやいた。

そして冷たい秋の風に吹かれながら、奮発して50円玉を賽銭箱に投げ入れた。

 

さて、独り身の孤独なポエムを奏でながら進んでいくKANEYANの秋田ぶらり旅。旅をするよりもあきた結婚支援センターに行ったほうが賢明な気もするが、ひとまず恋文の街に別れを告げて、次回はさらに奥羽本線を進んで鷹ノ巣方面に向かってみようか。

 

続く。

#11 【エロ自販機探索】【JR奥羽本線】「ついに出会えた八郎潟の女子禁制の自販機と秋田屈指のマニア向け温泉・森岳温泉郷」とは?

■ついに出会えた我が青春のエロ自販機

八郎潟にエロ自販機は存在していた。

 

前回のブログを更新した後、改めてネットで秋田のエロ自販機情報を探していると、あることに気がついた。

 

そう、最上もがは未婚のままシングルマザーに……じゃなくて実は前回のブログで「八郎潟のエロ自販機は撤去されていた」と書いたのだが、どうやら俺が場所を間違えていたようで、現在も八郎潟駅近くの国道沿いに現役のエロ自販機がしっかりとそびえ立っているようである。マジっスか。マジだよ。その真意を確かめるため、18年前チャリを必死に漕いでエロ自販機を目指したあの時と同じテンションで俺は再び奥羽本線に乗って「八郎太郎の伝説の町・八郎潟」へと向かった。

 

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駅から国道に出て、俺の青春の自販機を目指す。

 

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既にエロ自販機は負の遺産として、簡単にモノをゲットできるネット社会や頭の固い行政にいつの間にか葬り去られてしまったのか。数日前、俺は本気でそう思い愕然とした。だが実際は違った。そいつは確かに生きていたのだ。

 

「エロ自販機見つかりましたよ」

 

駅から歩くこと15分。どこからともなく「嗚呼!バラ色の珍生」における往年の島田紳助師匠のような優しい声が聞こえ、俺はそいつと18年ぶりの再会を果たしたのである。

 

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俺は息を殺しながら「おもしろ館」の中へ潜り込んだ。そこに広がっていたのは紛れもなく夢にまで見た大人のパノラマである。

 

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この令和の時代にそいつは凛と立っていた。まるで全盛期のお父さんの下腹部のそいつのように。って、今は真昼間だ。人は来ないだろうな。

ちなみに値段も1000円から2000円と良心的である。個人的には「教えてビッグダディ!!林下清志のHow to SEX!!」が気になった。少子化問題が顕著なここ秋田でビッグダディの子作り術は見習うべきである。

 

エロ自販機はたしかに存在していた。

 

八郎潟のエロ自販機「おもしろ館」はネット社会にも青少年育成条例にも街中のTSUTAYAやGEOにも媚びない昔気質のエロ侍のような風貌で今日もスケベな俺たちを待っている。

 

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無事にエロ自販機と再会できたところで、次は昼飯である。俺は近くのラーメン屋に立ち寄った。

 

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人生で初めて食べたミソ納豆ラーメン。感想はもはや「味噌ラーメンに納豆をぶっこんだような味」だが思ったよりも食べやすい。味噌と納豆。大豆に大豆をぶっこむという斬新なスタイルがここ八郎潟では受け入れられているようである。

■晩秋の森岳温泉郷を目指す奥羽本線の旅

腹が膨れたところで晩秋の風に俺の納豆臭い息を交差させながら、奥羽本線の旅の再開といこう。今回は八郎潟から3駅先の森岳駅を目指す旅を算段した。実はこの森岳は温泉地である。秋の残り香を感じながら温泉に浸かるのも悪くない。まずは八郎潟の隣駅「鯉川駅」へと向かった。

 

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朝の情報番組「スッキリ!!」でお馴染みの橋本五郎さんの故郷でもある鯉川駅は林に囲まれており、今にも小動物の一匹でも出てきそうな雰囲気である。

 

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少し歩くと林を抜けて国道に出る。ここからは国道を歩きながら、本日3つ目の駅「鹿渡駅」を目指すことにした。

 

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商店街を進んでいくと突き当りにひときわ大きな建物が見えるのだが、どうやらそれが鹿渡駅のようである。

 

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一応観光地の類に入ると思われる八郎潟森岳温泉に挟まれた鹿渡駅は、勝手に無人駅と想像していたが、駅舎はコミュニティ施設「青春館」と併設しており、なかなか立派な建物である。

 

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鹿渡駅で切符を買い再び奥羽本線に乗って本日の目的地である森岳駅へと向かった。

 

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森岳温泉郷は駅から数キロ離れており、バスもほとんどない。また歩きか。心の中で小言をこぼしながら徒歩で森岳温泉郷を目指す。こんなに歩きながら旅をしているのは俺か伊能忠敬ぐらいではないだろうか。

 

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 ■マニア向け観光スポット「丸富ホテル跡」と「カッパの足湯」とは?

20分ほど歩くと森岳温泉郷の看板が見えてきた。森岳温泉郷は今年リニューアルされたばかりの「カッパの足湯」が観光名所のひとつのようであり、案内看板にもしっかりと記載されている。紅葉を見ながら足湯なんてのも、なかなか粋ではなかろうか。

だがカッパの足湯は別名「恋人たちの聖地」とも謡われている。カップルが浸かっている足湯に割って入れるほど俺のメンタルは強くないが、幸いこの日は平日である。コロナの影響もありそれほど混んでいるとは思えない。まずは現地に向かい様子を見てみようか。

 

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この段階では、多少なりとも森岳温泉郷の風情というものに期待していたのだが、温泉街が近づくにつれて徐々にきな臭い雰囲気が漂ってきた。

 

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まず温泉郷の入り口で待ち受けていたのは木々に埋もれた丸富ホテルの看板である。以前はここ森岳温泉郷にて繁盛していたようだが、現在は既に廃業済みである。その丸富ホテルの残骸がまるで怨念のように温泉郷の玄関にへばりついている。

 

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廃墟と化したレジャー施設にひと時の英華の香りが僅かに残る。秋田県山本郡三種町に宿る光と影。間違えても「まっぷる秋田」には載せられない姿がここにはある。

 

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森岳温泉を更に進むと、現在の温泉郷の中心と思われる「森岳温泉ホテル」が見えてきたが、すぐそばには丸富ホテルが取り壊されることなく現存している。森岳温泉郷は過去と今がひとつの街に共存しているようだ。

 

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以前訪れた大館市大滝温泉の衰退ぶりも目を見張るものがあったが、森岳温泉郷の街並みもそれに匹敵するほどのパンチ力である。ただ大滝温泉とは異なり森岳温泉郷には現役の温泉施設や飲食店もいくつか存在し、観光地としての面目を保っている。

 

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温泉街を進んでいくと、ここ森岳温泉のシンボルでもある「カッパの足湯」が見えてきた。

 

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森岳温泉郷までの道中、カップルがいたらどうしようなどと考えた俺のお花畑のような頭にチョップを食らわしたい。森岳温泉の観光名所にして恋人たちの聖地は、周りに散りばめられた三角コーンのおかげで全く風情もなく、恋人たちの代わりに黄色いヘルメットをかぶった土木作業員のお父さんが、いぶかしげな目で俺を見ていた。

 

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もはや三種町観光協会の暴徒に近いシュールなデザインを目の当たりにした俺は、ただただ苦笑いを浮かべてそそくさとその場を退散するしかなかった。

 

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■温泉に浸かり地元の酒場で一杯

気を取り直して温泉にでも浸かろうと森岳温泉ホテルに立ち寄った。GoToキャンペーンの影響か、館内は意外に混雑しており泊りのお客さんも多い印象である。

 

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国内屈指の強塩素の温泉に浸かった後は、やはり酒である。今宵は森岳温泉ホテル近くの居酒屋で締めることにしよう。

 

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お店はお母さんがひとりで切り盛りしているようで既に常連と思われるお父さんが相撲を見ながら、一杯始めていた。俺もトントロ焼きをつまみに酒を進めながら大相撲中継を眺めているとまた別の常連さんも合流し、賑やかになってきた。

 

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隣の常連さんの話を盗み聞きしながらレモンサワーを飲んでいると、店主のお母さんがごま煎餅をくれた。トントロ焼きとごま煎餅をレモンサワーで流し込みながら、今宵も夜が更けていく。

そう、カッパの足湯には度肝を抜かれた俺だが結局良い雰囲気の酒場で旨い酒を飲めればそれで満足なのである。

 

さて、今回は無事にエロ自販機と再会することができたKANEYANの秋田ぶらり旅。晩秋の冷たい風に吹かれながらひとまず秋田屈指のマニア向け温泉・森岳温泉郷に別れを告げて、次回はさらに奥羽本線を進んで恋文の街・二ツ井を目指してみようか。

 

続く。

#10【エロ自販機探索】【JR奥羽本線】「吉田輝星や佐々木希が愛した追分のディープなカレー屋さんと八郎潟の女子禁制の自販機」とは?

■現役のエロ自販機を探しに……

俺の青春は自販機にあった。

 

2002年。当時大学生だった俺は北関東のアパートに住んでいた。もちろん彼女はいなかったが性欲だけは人一倍旺盛だった俺の密かな楽しみは、夜中にこっそり近所のエロ自販機にエロ本やエロビデオを買いに行くことだった。今では信じられないが当時は月額300円を払ってガラケーの着メロをダウンロードし、Twitterやインスタはもちろん、mixiすら始まっていないアナログ時代である。

夜中に家を抜け出して自転車をかっ飛ばし、人目を気にしながら千円札を何枚か自販機に突っ込み、当時大ファンだったロリータ系AVユニット「minx」のメンバーだった「長瀬愛」や「堤さやか」のエロビデオ(当時の主流はまだVHSだった)を鼻血を出しそうになりながら購入し、そしてそれをバッグに隠して逃げるようにチャリを立ち漕ぎして家に帰った青春の日々。

 

あれから18年。気づけばVHSはもはや骨董品扱いとなり、あのとき夢中になった長瀬愛堤さやかは40代である。そして何よりわざわざチャリをかっ飛ばさなくても、スマホで簡単に無料エロ動画を見れるようになり、現物が欲しければAmazonで簡単に買える時代になった。

 

「あれっ、これって旅ブログじゃなかったの?」という突っ込みはひとまず置いておいて、何が言いたいのかというと、俺のしょうもない青春の日々に彩りを添えてくれたエロ自販機は秋田の各地にまだ存在しているのか、ということである。

なぜだかそれがとても気になった俺はネットを駆使して調べたところ、JR奥羽本線八郎潟駅付近の国道沿いに現役のエロ自販機が存在するということがわかった。マジっスか。マジだよ。俺はその真意を確かめるため、前回のブログで紹介した「土崎駅」の隣駅である「上飯島駅」から5駅先の「八郎潟駅」を目指す旅を決意した。ゴールはもちろん八郎潟の女子禁制の自販機である。俺は意気揚々とJR奥羽本線に乗り込み、今回の旅のスタート地点である上飯島駅に降り立った。

 

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 ■今話題のアンジャッシュ渡部・佐々木希夫妻も訪れたディープなカレー屋さんとは?

上飯島駅からはすぐに国道7号線に出られるのだが、そこにはモータリゼーションよろしく、圧倒的な車社会の光景が広がっていた。

 

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とりあえず昼飯難民になる心配はなさそうな街だが、歩いていると朝7時から営業しているラーメンショップを発見した。実は秋田には朝ラーの文化があり、朝っぱらから営業しているラーメン屋は珍しくない。まあ、個人的には朝っぱらから入れる立ち飲み屋があれば嬉しいのだが、残念ながらここは赤羽ではない。

 

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国道沿いは車で騒がしかったが、追分駅に向かうためひとつ路地を曲がると、途端に車どころから人も見当たらなくなった。

 

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近くにあった町内案内の古びた看板には個人名が並んでいる。個人情報保護が謳われている令和の時代に大丈夫なのだろうかと余計な心配をしてしまうが、なぜかこういった個人情報剝き出しの看板は秋田ではよく見かける。

 

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本日2つ目の駅「追分駅」に到着。駅近くには中国人もビックリの大量の自転車が並んでいる。

 

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実はここ「追分駅」は2年前の夏に甲子園で一世を風靡した金足農業高校の最寄り駅なのである。この大量のチャリンコも金足農業の学生のものだろうか。

 

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その金足農業を卒業し現在日本ハムファイターズの吉田輝星君も通ったと思われるカレー屋さんが近くにあるため、そこで昼飯を食べることにした。

 

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店内はお母さん2人で切り盛りしており、大量の漫画本が置いてある。看板には「カレー」「うどん」「そば」「さしみ」そしてなぜか「チャーシュー」と書かれており全く統一性がないのだが、どうやら基本的にはカレー屋さんのようである。俺は迷った挙句、珍しい「猪カレー」をオーダーした。あまり頼む人がいないのか、店員のお母さんが驚いていた。

 

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ご飯を埋め尽くすほどの大量のカレーに、サービスのコロッケ、そしてサイドに無理やり添えられたサラダたち。なかなかのボリュームである。肝心の猪の肉は癖がなく豚肉と言われても気づかなそうだ。だったらもはや半額以下のブーカレー で良かったのではないか。俺はメニューのチョイスが下手なのである。

 

店内には有名人のサイン色紙が並べられていた。吉田輝星君やアンジャッシュ渡部・佐々木希夫妻、ロケで訪れたと思われるバナナマンやなぜかEXILEのメンバーの色紙も並んでいた。

 

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 ■まるでグラビアアイドルみたいな駅とは?

がっつりカレーを食べて腹がパンパンになったところで、目的地のエロ自販機を目指して旅の再開である。奥羽本線の下りの電車で北へと進み本日3つ目の駅「大久保駅」に到着した。大久保駅は5年前の2015年に改装されたようで小綺麗である。

 

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天気が良かったので、ここから次の「羽後飯塚駅」までは歩くことにした。先ほどのモータリゼーションよろしくの国道とはうってかわって、奥田民生の「さすらい」が似合いそうな一面田んぼの田舎道である。

 

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程なくして本日4つ目の駅「羽後飯塚駅」に到着。この駅も2016年に改装済みのようだ。先ほどの大久保駅とこの羽後飯塚駅潟上市に位置するのだが、駅が奇麗なせいか街全体が奇麗に見える。他の街を引き合いに出すのは宜しくないが、このブログの前半で訪れた大館市あたりの退廃した雰囲気は感じられない。同じ秋田の田舎の街でも特色は異なるものである。

 

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ここから次の駅までは2キロもないため、再び歩くことにした。奥羽本線に沿って歩いていくと、潟上市を抜けて南秋田郡井川町に突入した。

 

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本日5つ目の駅「井川さくら駅」はまるでグラビアアイドルみたいな駅名だが「人名じゃないのかよ!とツッコミたくなる駅名ランキング(2018年)」において1位を獲得したようである。正直めでたいのかそうでないのかは謎だが、駅自体はこのユニークな駅名をもろに意識した造りとなっている。

 

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時刻は夕方15時半。11月の日没の早さを見くびってはいけない。17時前には陽が落ちる。ある程度の目星はついているものの、知らない街で暗闇の中エロ自販機を探すのは容易ではないため、俺は急ぎ足で井川さくら駅から奥羽本線に乗り、本日6つ目の駅にして目的地である「八郎潟駅」へと向かった。

 

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■八郎太郎伝説のまちにエロ自販機はあるのか?

駅に堂々と「八郎太郎伝説のまち」と掲げられているが、もはや八郎太郎のその伝説とやらに興味を示す人間がこの世に存在するのだろうか。まだ大舘の「ハチ公の故郷」や能代の「バスケットの街」のほうがピンとくる。いきなりエロ本の自販機を探しに来たオッサンにディスられた八郎太郎は不憫ではあるが、残念ながら彼に観光客を呼び寄せるパワーは1ミリもないと言わざるを得ないところが、同じ秋田県民としても心苦しいところである。

 

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駅前は商店街となっており旅館もあるため、一応観光客も受け入れる体制は取っているようである。

 

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ネット情報によると女子禁制の自販機は国道に面しているようである。八郎潟のスケベボーイ&スケベダンディが家をこっそり抜け出しドライブがてらそこに集うのだろうか。興味は尽きないが、先ずは国道に出ることにした。

 

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国道に出てひたすら真っすぐ歩く。エロ自販機に向かってチャリを漕いでいたあの日から18年。いつの間にか俺は大人になっていた。ぶっちゃけ自販機で買うよりもスマホでエロ動画を見たほうが手っ取り早いし、どうしてもDVDを見たければTSUTAYAに行ったほうが品揃えも豊富だということを知っている。だがそういうことじゃない。俺は、俺の青春に決着をつけたいのだ。

 

ネット情報によると、もうすぐのはずである。俺は国道を歩く。あっ、あれはもしや。あれ。あれれ。ちょ。ちょ、まてよ。

 

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たしかにその場所に俺の青春が存在した形跡は見えた。だが残念ながらすでに撤去されているようだ。

 

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マジっスか。マジだよ。俺の青春の象徴とも言えるエロ自販機はネットの普及と昨今の様々な条例により、完全にこの世界から消されてしまったのだろうか。悔しい。悔しいよ俺は。八郎太郎はきっとそんな俺を笑っていやがる。チクショー、俺の青春はまだ成仏できてやしないぜ。つーか、このオチはないってばよ。

 

だが俺はあきらめない。きっとどこかに。秋田のきっとどこかに俺を待っているエロ自販機があるはずだ。それを信じて俺は旅を続けるのだ。

 

さて、今回は想定外のオチとなってしまったKANEYANの秋田ぶらり旅。だがここでへこたれているわけにはいかない。ひとまず八郎太郎の伝説のまちに別れを告げて、次回はさらに奥羽本線を進んで秋田屈指のマニア向け温泉・森岳温泉郷を目指してみようか。

 

続く。

#9 【町飲み】【JR奥羽本線】「秋田駅から土崎駅へのはしご酒の旅で出会った土崎の生きる伝説ママ」とは?

■土崎の生きる伝説とは?

秋田にもうすぐ冬がやってくる。

 

雪国秋田にとって、冬は戦いである。凍結した道路を運転するときはマジでおしっこちびりそうになるし、数年前運転中にガチのホワイトアウト(目の前が雪で真っ白になって方向感覚がわからなくなる現象)に遭遇したときは一瞬死を覚悟した。

隣の家に住んでいたおばあちゃんは屋根の雪下ろしの作業中、誤って屋根から転落して死んじまったし雪は日常生活さえぶち壊す破壊力がある。全国ニュースで報じられることは少ないがこれが秋田の現実である。

 

そんな憂鬱な冬の足音が聞こえつつある10月の夜、俺はJR奥羽本線・土崎駅近くのとあるスナックにいた。客は俺ひとり。「まず、化粧する」と言ってママは俺の隣に座って、メイクをし始めた。「今からするんかい!」というツッコミは心の中に閉まって、何気なくママの顔を見てみると危うく飲んでいたビールを吹き出しそうになった。瞼に丸く塗られた黒いアイシャドーがまるで公家の眉毛のようである。もちろんママがウケを狙っているのではない。いわゆるひとつのガチのおめかしである。やばいところに来てしまった。俺はとりあえず目の前にあるビールを一気飲みした。

 

「いいどころさ来た。来月で、めへ辞めるどってらおの(いいところに来た。来月で、店辞めようと思ってる)」

「来月で?」

「んだんだ(そうそう)」

「そうですか」

 

俺はそう言って、ママが用意してくれた「里芋の煮物」に手をつけた。

 

「うめが?(美味しい?)」

「美味いです」

「いがった。うめって言われれば嬉しい(良かった。美味しいって言われれば嬉しい)」

 

そう言って少女のように屈託なく笑うこの女性は、土崎の生きる伝説と謳われている琴子ママである。今回はその秋の夜の一部始終を記していこうと思うのだが、先ずはその前に少し時間を戻すことにしよう。

■立ち飲み「あきたくらす」と居酒屋「おひとりさま」とは?

10月の終わり、俺は秋田の中心である秋田駅にいた。憂鬱な冬を目前に控え、今日はたらふく酒を飲みたいと思い、秋田駅から土崎駅へのはしご酒の旅を計画したのである。

 

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だが時刻はまだ16時前。秋田県は昼飲み不毛地帯であり、ほとんどの居酒屋が17時開店である。俺はひとまず秋田駅に併設されている立ち飲みスペースで時間を潰すことにした。

 

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この「あきたくらす」は主に観光客向けの店ではあるが、秋田のレアな日本酒を味わうことができる。俺は秋田最強の蔵元である新政のラピスをオーダーした。もはやアクエリアス並みに飲みやすい酒である。

 

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「ラピス」を飲み干し気持ちは次の酒へと行きたいところだが、コロナウイルスの影響で飲食時間はひとり20分までという制限があるようだ。俺は従順に言いつけを守り「あきたくらす」を退散し、駅近くにある16時開店の居酒屋「おひとりさま」に向かった。

 

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お店は60代のお父さんがひとりで切り盛りしており、看板には立ち呑みとあるが店内には椅子が設置されている。駅前ということもあり観光客や出張中のサラリーマンも飛び込みで来ることもあるが、大半は地元のお客さんである。なぜこんなに詳しいかというと俺はこの店の常連客なのである。

 

「おっ。久しぶり。今煮込み温めてるよ」

 

お父さん特製の煮込みをつまみに今宵はスタートである。

 

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コロナウイルスの影響で飲み歩く人がめっきり少ないようで店内は俺ひとり。お父さんは朝ドラ「純情きらり」の再放送に夢中である。俺もビールを飲みながらぼんやりとテレビを眺めていると「今年栗食べた?」とお父さん。まだ食べていないと言うと栗をサービスしてくれた。

 

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 「純情きらり」が終わるとお父さんの三味線タイムである。

 

「お兄ちゃん、秋田おばこが聞きたいんだったね」

「いや、あの、その……」

「そうか、そうなら早く言ってよ」

 

半強制的にお父さんの三味線を聞かされながら、ゆっくりと時間が流れていく。俺はこの時間が好きなのである。そして軽く一杯のつもりが、芋焼酎の水割りにチェンジし気づくと2時間近く過ぎていた。いつもの悪い癖である。本来であればここから川反に繰り出して、お姉ちゃんの店へと流れるところだが今回はあえて電車で隣の土崎駅に移動して、はしご酒と行きたい。俺は奥羽本線に乗り土崎駅へと向かった。

 

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 ■初体験の珍味「棒アナゴ」とは?

土崎は駅から少し歩くと秋田港にたどり着く。いわゆる港町である。ここはひとつ旨い魚で一杯と行きたいが、コロナの影響で多くの店が休業中である。俺は途方に暮れながら、港町を歩く羽目となった。

 

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晩秋の冷たい風に吹かれすっかり酔いも醒めてきたころ、ようやく良さげな店を発見した。

 

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店内は常連さんで賑わっている。これは期待できそうだ。早速刺身の盛り合わせを注文し、はしご酒の再開である。

 

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さて、つまみをもう一品。迷った挙句、棒アナゴの白焼きを注文したのだが、これが想像とかなり違った。ぶっちゃけ何かの昆虫かと思ったほどである。おそるおそる口に運ぶ。独特な香ばしさと苦み。好き嫌いがはっきりと分かれそうだが日本酒には合いそうだ。

 

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だいぶ酔いも回ってきたところで、今宵のはしご酒のフィナーレを飾るべく俺は土崎のとあるスナックへと向かった。

 ■土崎の生きる伝説「琴子ママ」と夜を過ごす

スナック琴子。土崎の生きる伝説ママである。ネット上ではちょっとした有名人のようであるが、このコロナ禍で果たして営業しているだろうか。そんなことを思いながら真っ暗な夜道を歩いていると、ポツンと青い明かりが見えた。

 

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そのめくるめく世界に誘われるように、俺は年季の入った扉を開けた。

 

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扉の向こうで待っていたのは、おばあちゃん。ごめん間違えた。75歳ぐらいのお母さんである。

 

「あら、初めましてだな。ビールだが。焼酎だが。ワインだが」

「あっ、じゃあビ、ビールで……」

「里芋の煮だのもあるどもくが?(里芋の煮物もあるけど食べる?)」

「は、はい……」

 

店にビールサーバーはなく、琴子ママが奥で缶ビールをグラスに注いでいるのが見えた。店内には常連さんがキープしたボトルが並び、カラオケもある。トイレは和式。ザ・昭和のスナックである。

 

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さて、ここからようやく冒頭の下りに戻るのであるが、琴子ママはなぜか慌てて化粧という名の公家メイクを施し始め、俺はそれを横目にチロルチョコをつまみにグラスのビールを一気飲みし里芋の煮物に手をつけた。

 

「うめが?(美味しい?)」

「美味いです」

「いがった。うめって言われれば嬉しい(良かった。美味しいって言われれば嬉しい)。ごぼう煮だやづもあるども、それもくが?(ごぼうの煮物もあるけどそれも食べる?)」

「た、食べます……」

「あど、イチジクもけ(イチジクも食べれ)」

 

どうやら煮物が得意なようである。だがお手製のイチジクの甘露煮は想像を遥かに超えて激甘だった。

 

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「あめが?(甘い?)」

「ちょっと、そうですね」

「キャハハ。やっぱりな。ザラメの量まぢがったものな」

 

ここまで豪快に笑われてしまったらもはやお手上げである。

 

「あなた、彼女はいるが?」

「いないです」

「セックスはしてるが?」

「セックス?」

 

どうやら琴子ママは下ネタが好きなようである。

 

「わだしも一杯もらっていいべが?(私も一杯飲んでいい?)」

「は、はい。いいっスよ」

俺がそう言うと琴子ママは紙パックのワインをグラスに注ぎ始めた。

「あっ、じゃあ俺もそれで」

 

琴子ママと二人で紙パックのワインを飲みながら土崎の夜が更けていく。来月で店をやめるというママは俺にたくさんの写真を見せてくれた。すべてこの店で撮ったお客さんの写真である。

 

「みんな楽しそうっスね」

「んだ。こさ来いばみんな楽しぐなる(そう。ここに来ればみんな楽しくなる)」

そう言って琴子ママが自慢げに笑った。その顔は公家メイクのおかげで目が開いているのか閉じているのかはわからなかったが、琴子ママはお客さんが好きなのだということはわかった。 

 

いつのまにか2時間、いや3時間ぐらい居ただろうか。 もっといろんな話をしたような気がするが思い出せない。そんなもんである。

だけど帰り際、琴子ママが店の外に出て俺を見送ってくれたことは覚えてる。どうかお元気で。ママと別れた後心の中で呟いた。面と向かってちゃんと言えないところが俺の悪いところである。

俺はパーカーのポケットに手を入れながら土崎駅へと向かった。寒い。秋田にもうすぐ冬がやってくる。

 

ただこの人は冬が来てもきっと元気なんだろうな。

 

さて、再び秋田駅から始まったKANEYANの秋田ぶらり旅。深夜の3時まで店を開けているというタフな琴子ママにひとまず別れを告げて、次回はさらに奥羽本線を北に進んでみようか。

 

続く。

#8【歩き旅】【JR五能線】「日本海を見ながら秋田最北端の岩舘駅を目指す五能線ぶらり旅」とは?

■早朝の白瀑神社から岩舘駅を目指す五能線ぶらり旅

終電、早っ!

 

スマホでJR五能線の岩舘駅から秋田駅までの終電時間を調べていたら、思わず声を出してしまった。当日中に秋田駅まで戻るには15時36分に岩舘駅を出発せねばならない。鉄道不毛地帯・秋田の終電時間の早さを見くびってはいけないことは知っていたが、五能線の運行本数はことさら少ない。今回の目的地であるJR五能線の岩舘駅は秋田最北端の地であると同時に日本海に面しているため、駅周辺の居酒屋に立ち寄って旨い魚で一杯という俺の浅はかな計画は見事にJR東日本からカウンターパンチを食らった格好である。それどころか呑気に昼近くにでも秋田を出発した日には旨い魚どころか、何もできずあっという間に終電である。

 

じゃあ始発でいっちゃう?

 

そんなわけで俺はようやく陽が昇った朝6時過ぎに秋田駅を飛び出し、東能代駅で通学途中の学生に挟まれながら五能線に乗り換えた。そして朝8時前に「東八森駅」に到着した。今冷静に振り返ると見事なまでの暴挙であるが、その日の天気の良さも手伝って、朝の東八森駅の空気は悪くないと思った。これはきっと良い一日になるぞ。そう、自分で自分にそう暗示をかけるところから、この旅は始まるのである。

 

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今回は現在地の東八森駅から4駅先の岩舘駅を目指す旅である。冒頭でも触れたように秋田の酒飲みの端くれとしては日本海の旨い魚で一杯やりたいところであるが、さすがにまだ朝の8時である。いくら秋田の酒飲みの端くれといえどもここは酒を我慢し前回の旅で立ち寄れなかった白瀑神社に向かうことにした。

 

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朝の神社はより厳粛な雰囲気が漂っているものである。ひとまず俺は石段を登り参拝を済ませると近くに設置されていた公衆トイレで用を足した。トイレは意外にも洋式である。……って、神社の感想がまさかのトイレについてとは、この36歳の信仰心のかけらもない旅人もどきに神様はどう思うのだろうか。

 

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神社の裏手に回ると、瀧を拝むことができた。豪快さはないが神社の荘厳な雰囲気と相まって威厳を感じる。

 

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日本海を一望できる八森のオシャレな食堂とは?

白瀑神社で参拝と瀧見学を終えて再び国道を歩いていると道沿いに日本海が顔を出した。

 

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花輪線の山旅から一転して、今度は日本海沿いの旅である。海の匂いを感じながら次の八森駅を目指した。

 

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程なくして八森駅に到着した。八森駅はユニークな作りになっており、駅のホームに行くには年季の入った木造の回廊を通る必要がある。

 

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ばっけというのは、いわゆるフキノトウのことであるが、誰かが駅のフキノトウを勝手に取っていくのだろうか。

 

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フキノトウ泥棒と勘違いされては困るので、駅見学はこれくらいにして近くの海が見える食堂で昼飯を食べることにした。

 

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実はこの八森地方はあわびの養殖が盛んのようである。やはりここは名物のあわび御膳に目が行くが、2,000円とやや高額のため、1,000円のお魚ランチを選択した。酒飲みは酒においては金に糸目を付けぬものだが、普通の飯を食べるときは非常にケチなものである。

だがこのお魚ランチを甘く見てはいけない。アマダイの煮つけをメインとして、非常に品数も多く、海が見えるロケーションも手伝って、なかなか優雅なランチタイムを過ごすことができた。

 

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腹が膨れたところで、歩き旅の再開である。引き続き日本海を見ながら、ぶらぶらと五能線沿いを歩く。朝は肌寒かったが、昼頃には半袖でも良いぐらいの晴天である。

 

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滝ノ間駅に到着した。比較的高台にある駅で海を見渡せる最高のロケーションかと思いきや、付近が墓地であり、それが見事なまでに観光気分を緩和させるパワーを放っている。俺もそそくさと退散せざるを得なかった。

 

 

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次のあきた白神駅は個人的に一度は乗ってみたいリゾート快速列車「リゾートしらかみ」の停車駅である。駅に到着すると、ちょうどその「リゾートしらかみ」が停車していた。オシャレなリゾート列車を遠巻きに眺めながら、己の生産性の無い旅が少しだけ寂しく思えた。嫁と子供を連れて電車旅など最高だろうな。そんなことを思いつつ、あきた白神駅に隣接している施設「ハタハタ館」のベンチに腰を下ろした。時に一人の旅は寂しいものである。

 

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ちょうど10分後に岩舘行きの電車が来るところだったため、あきた白神駅から岩舘駅までは五能線を利用することにした。あきた白神駅には秋田しらかみ中央管理センターなる観光案内施設が併設されており、そこで切符も買うことができるようだ。

 

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「観光ですか?何もないところですけど大丈夫ですか?」

 

窓口のお姉さんに苦笑いされてしまった俺は思わず「全然大丈夫じゃないっス」と返しそうになったが、岩舘駅で旨い魚で一杯やれば、それはそれでこの生産性がまるで無い旅も、一応は成功の部類に入れても良いように思った。そう、全ては旨い魚である。頼むよ、岩舘。

 

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リゾート快速列車と比べると、年老いて所々くたびれている五能線鈍行列車に乗り込み、岩舘駅へと向かった。

 

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 ■秋田最北端の駅・岩舘駅と日本海を一望できる「チコギ灯台」とは?

いよいよ本日の目的地・岩舘駅に到着した。まだ終電まで少し余裕がある。早く酒を飲みたい気持ちもあるが、ここはひとつ秋田最北端の地を存分に感じたいと思った俺は日本海を間近で眺めてみようと「チコギ灯台」に向かうことにした。

 

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駅から国道に出て、灯台を目指す。途中、荒れた日本海を凌駕する豪快な落書きを発見した。

 

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タケ丸の熱いメッセージを受け取り、歩き進める。灯台までは徒歩20分。それほど長い道のりではないのだが、この落書きを超えると途端に雲行きの怪しい状況に陥った。

 

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まさかの山火事と熊のダブルパンチである。先日訪問した鹿角市が屈指の熊登場スポットであったが、ここ山本郡八峰町も熊が現れるようである。熊登場大国・秋田を歩き回るのも容易ではない。そう思っていた矢先、今度はこの看板が登場した。

 

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猿って。

猿って。

大事なことなので2回言いました。まさかの山火事・熊・猿の恐怖の三冠王である。野生の猿を見くびってはいけない。志村どうぶつ園とかに出てくる人懐こい猿とはワケが違う。出会った日にはレイプ魔の如く襲い掛かってくるに決まっている。勘弁してくれ。当然だがこんな道を歩いている人はいない。車もほとんど通らないため、いざという時のヒッチハイクもままならない。

 

もはや千鳥足で恐怖の国道を歩いていると、ようやく灯台が見えてきた。

 

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秋田最北端の地で見た日本海の波は穏やかだったが、山火事・熊・猿の恐怖の国道を潜り抜けてきた俺は別の意味で激しく波打っていた。この激しい胸のうねりを静めるためにそろそろ酒である。酒を飲みたい。

 

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■岩舘のソウルフードイカ焼き」とは?

灯台を後にして、再び駅の方面に向かって歩いた。国道は野生のアニマルが怖いため今回は海沿いの道を選んだ。中学生ぐらいの女の子が海に向かってフルートを吹いていた。のんびりした街である。

 

また、ここ岩舘エリアのソウルフードは「イカ焼き」のようである。だが夏が終わっているせいか、もしくは何年も前に閉店しているのか定かではないが、海近辺のお店はこぞって営業している気配がない。

 

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ここまで来てただ海を見て帰るのでは今日の日本海のように普段は心穏やかな俺も、海に向かって暴言のひとつでも吐いてしまいそうだ。ここはどうしてもイカ焼きを食べたい。いや、食べねばならない。スマホで調べてみると駅近くに1軒だけ営業していると思われる店があるのだが実際に行ってみないと真相は分からない。

俺は祈るような気持ちで恐る恐る店に近づいてみた。店先にイカが干してある。営業しているようである。

 

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先ずは瓶ビールを注文し、気さくなお母さんにイカを炙ってもらう。この店ではイカ焼きだけではなくラーメンなんかも食べることができる。イカ焼きをテイクアウトしていく人もいた。

イカを待っている間つまんで」とお母さんが焼きたこをサービスしてくれた。たこ焼ではなく、焼きたこである。店内には芸能人のサインが飾ってあった。なぜかムーディー勝山である。

 

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炙りたてのイカ焼きを食べながら考えたことがある。誰しもが一度は考えたことがあると思うが、人生最後に食べるとしたら何を選ぶかである。俺は堂々とイカ焼きを選択したい。もちろん炙りたてで、瓶ビールもセットでなければいけない。マヨネーズもお願いしたい。そんな気持ちを胸に終電の五能線に乗るため、小走りで岩舘駅へと向かった。歯に挟まったイカを気にしていたら、危うく終電を逃すところだったのである。

 

そして人生最後に食べるとしたら何を選ぶかについて、一点訂正を入れたい。イカ焼きで一杯やった後にぜひともラーメンを食べたい。けして先ほどの店でラーメンが美味そうだったのに、時間がなくて食べれなかったから言っているのではないが……。

 

さて、花輪線に続いて五能線沿いを彷徨い歩いたKANEYANの秋田ぶらり旅。電車の関係でラーメンを食べれなかったことが未だに心残りだが、ここ秋田最北端の地にて、ひとまず五能線に別れを告げて、次回は秋田の中心・秋田駅から北に向かって奥羽本線の旅に出てみようか。

 

続く。

 

#7【ほろ酔いの旅】【JR五能線】「向能代の渋いお蕎麦屋さんから東八森を目指す酔いどれ五能線の旅」とは?

東八森駅を目指す五能線徒歩の旅

リゾートしらかみに乗りてえなぁ。

 

東能代駅から五能線の鈍行列車に乗車するときにそう思った。リゾートしらかみとは、秋田駅から弘前青森駅間を五能線経由で運行している臨時快速列車である。世界遺産白神山地日本海の絶景ポイントを地球に優しいハイブリッド車両で駆け抜けるリゾート列車を横目に俺は五能線の色褪せた座席に腰を下ろした。

 

通学の時間帯を過ぎて、乗客の中心は高齢者である。オシャレな快速列車に乗り込むハッピー旅行気分の乗客とは対照的に、五能線鈍行列車に漂うのは圧倒的な生活臭である。どうせなら俺もやはりハッピーな旅行気分を味わいたい。だがこの「KANEYANの秋田ぶらり旅」は勝手に地域密着型ブログを掲げている。臨時快速列車が一瞬で抜き去っていく、忘れられた五能線無人駅たちを丹念に回り記事にすることが俺に課せられた命題なのである。

誰が頼んだわけでもないのに勝手に恩を着せられている五能線無人駅たちもいい迷惑であろうが、ひとまず俺が今回最初に訪れたのは能代駅から一駅先の「向能代駅」である。

 

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東能代駅能代駅で見られた「バスケットの街・能代」をPRした観光客向けの看板やバスケットリングは無く駅員も不在の無人駅である。駅の待合室にポツンと貼られた駅の時刻表を見てみると、ただでさえ本数が限られている秋田のローカル電車の中でも五能線はトップクラスの少なさであることが確認できる。

 

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今回はここ向能代駅から4駅先の東八森駅までの五能線徒歩の旅を計画した。性懲りもなくまた歩くのだが、次の電車を待っていてはすぐに夜になってしまう。だがその前にまずは腹ごしらえである。スマホで調べてみると、近くに蕎麦屋がある。ここ秋田でもラーメンは至るところで食べられるが、旨い蕎麦屋は意外と少ない。それに俺はなぜか「蕎麦屋」の雰囲気が好きなのである。もちろんここでいう蕎麦屋は「富士そば」などのチェーン店ではなく、個人経営の蕎麦屋である。そんな気持ちわかるでしょう。

向能代の渋い蕎麦屋で一杯

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駅前の住宅街を抜けると建物は少なくなってくる。本当にこの辺りに蕎麦屋はあるのだろうか。そう、田舎のネット情報を鵜呑みにしてはいけない。ネットには載っているが実は数年前に閉店してました、ということだって十分あり得る話である。

 

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歩きながら少しづつ心細い気持ちになってきたころ、不意に麺棒を持ったお父さんを発見した。明らかに蕎麦職人の風貌である。コロナ禍の状況で市外から来たことがバレたら、持ってる麺棒で殴られやしないだろうか。そんな不安が頭をよぎる。実は「蕎麦屋」好きの俺だが、所見の個人経営の蕎麦屋は入るのに少し緊張してしまうところがある。そんな気持ちわかるでしょう。

 

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おそるおそる店内へ。夫婦で経営しているようで、お母さんがお水を出してくれた。

俺はちょっぴり緊張の面持ちでメニューを眺めた。酒のコーナーに目を移す。36歳。実は「ちょいと蕎麦屋で一杯」というフレーズに憧れを持つ年ごろなのである。だが如何せん時間が早すぎる。まだ昼の12時前である。秋田には昼飲みの文化がない。昼間から酒に手を出したらアル中と思われないだろうか。

そんなことを思いながらひとり狼狽しつつも、とあるお酒に目が留まった。そば焼酎である。今まで様々な酒に手を出し、それと同時に様々な失敗を繰り返してきた俺だが、そば焼酎はまだ飲んだことがない。ここはひとつ永年における俺の酒飲み人生に敬意を表して、チャレンジせねばならない。

 

「す、すいません。ざるそばと、あと、そ、そば焼酎ってありますか?」

いやいや、置いてあるからメニューに載ってんだよと突っ込みが聞こえてきそうだが、如何せん、酒飲みは酒を飲むまでは基本的に緊張している生き物である。

そば焼酎ありますよ。では、お蕎麦は後からのほうがいいですか?」と店主。

「そうですね。後の方が」

先ずは酒を楽しんでから蕎麦に入るのが玄人ぽいなと一人合点した俺だが、用意されたそば焼酎を目の前にしてまたもや落ち着きがない。飲み方がわからないのである。そば焼酎のアルコール度数は30度。取り扱いを間違えると事故が起きる。

 

「これはどのように飲んだら旨いですか?」

なんとなく玄人ぽく聞いてみたつもりだが、こんなことを聞く時点で完ぺきな素人である。

「このままでも大丈夫ですし、お湯で割ってもらっても。まあ普通はお湯で割りますけどね」

そば焼酎童貞は店主の言いつけを的確に守り、お湯で割った念願のそば焼酎をチビチビと喉に流し込む。そんな俺に店主はそば粉で作った煎餅をサービスしてくれた。

 

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外は秋晴れ。こんな天気の良い日に昼間から飲む酒は格別である。

「これは飛騨高山のそば焼酎なんですよ」

そんな能天気な俺に店主は優しく説明してくれる。旨い酒に、旨い蕎麦。何もリゾートしらかみに乗らなくとも、旅を満喫することはできるではないか。と思ってみたが、残念ながらこの男は酒を飲んで腹が一杯になればそれで満足なのである。

 

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 ■学問の神様を祀った神社とポンポコ山とは?

蕎麦を食べた後は、いよいよ五能線沿いを北に向かう徒歩旅のスタートである。

 

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まずは国道に出て、次の北能代駅を目指す。

 

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アルコール度数30度のそば焼酎を飲み、すでにほろ酔い気分の俺だが、この日の気温は20度前後。歩くには悪くない天気である。程なくして「北能代駅」に到着した。

 

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向能代駅の年季の入ったルックスとは対照的に、北能代駅は意外と小綺麗である。ちなみに酒飲みの最大の敵は尿意である。すでに先ほどのそば焼酎が膀胱を刺激してくるが、北能代駅にトイレは見当たらかなった。ここはひとまず我慢して次の駅を目指すことにした。

 

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さらに国道を歩き進めていると神社を発見した。案内看板を見てみると聞き覚えのある名前が記載されていた。どうやら、かの有名な学問の神様・菅原道真公を祀った神社のようである。

 

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この何の利益も生まないであろう酔いどれ五能線徒歩の旅の無事を祈る。学問の神様もいい迷惑である。

 

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国道を次の鳥形駅方面に向かって歩いていると道の駅「みねはま」に到着した。

 

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「ポンポコ101って何やねん」と心の中で軽いツッコミを入れつつ、道の駅へ。せっかくの旅である、ここでソフトクリームでも食べましょう、などとスイーツ女子が考えそうなことは見向きもせずトイレへ。とにかく尿意が限界だったのである。

道の駅から少し歩くと、小高い丘の上に気になる建物を発見した。尿意から解放された俺は年甲斐もなく登ってみることにした。

 

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丘の上には、大きなすべり台が設置されていたがコロナの影響か閉鎖中である。平時は子供たちで賑わっているのだろうか。

 

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東八森のディープな風貌の食堂「ポパイ」とは?

再び国道に出て歩き進め鳥形駅に到着した。

 

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鳥形駅近くの民家の前に「世界人類が平和でありますように」と書かれた看板を発見した。最初は特に気に留めなかったのだが、その隣の建物にも一部文字が欠けているが同じ看板が置いてある。よく見たら向かいの小屋にも。もはやここまでくるとピースフルな雰囲気を凌駕し若干寒気だった気持ちになってくるものである。

 

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沢目駅へ到着。いくら天気が良いとはいえ、このときには俺のおしとやかな足腰は悲鳴を上げ始めていた。何とも締りの悪い五能線徒歩の旅である。

 

 

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この日の当初の最終目的地は次の東八森駅にある白瀑神社だったが既に夕暮れが近い。秋の日没時間の速さを見くびってはいけない。いや、急げば間に合うかもしれないが、その前に東八森駅前で見つけた食堂がどうしても気になってしまったのである。

 

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もはや「営業中」という看板がにわかに信じがたいほどの風貌である。入るには少し勇気がいる。だが昼間にそばを食べたとはいえ、歩いてきたせいか腹が減っている。意を決してお店に入ると、感じの好さそうなご夫婦が出迎えてくれた。人と食堂は見てくれで判断してはいけないものだなとつくづく感じる。ローカルラジオを聴きながら、肉野菜炒め定食を食べて、本日の五能線徒歩の旅もいよいよ終盤戦である。

 

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結局はこういう飯が一番美味いんだよなと勝手に納得しつつ東八森駅に到着。

 

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ここ秋田県山本郡八峰町日本海に面している。そうなると旨い魚に期待したいところだが、それは次回の楽しみに取っておこう。

 

さて、先日までの花輪線の山旅から一転して今度は日本海沿いを行くKANEYANの秋田ぶらり旅。ただ酒を飲んで国道をふらついてるだけじゃねーかという総ツッコミはひとまず無視して、次回は五能線をさらに進んで青森県との県境にある秋田最北端の駅「岩舘駅」を目指してみようか。

 

続く。

 

#6【街歩き】【JR五能線】「バスケだけではない癒しスポット満載の能代の歩き方」とは?

■バスケの街・能代の囲炉裏カフェとは?

最近なんだか疲れている。

 

たいして仕事もできず彼女も貯金もない36歳の俺が唯一の楽しみにしていることと言えば野球を見ることである。幸い今年は小3からのファンであるジャイアンツの調子がいい。だがふと思うときがある。ジャイアンツが勝ったからと言って俺に何の得があるのだろうと。俺の年俸が増えるわけでもないし、女子アナと結婚できるわけでもない。なのになぜ俺は必死に応援しているのだろう。ジャイアンツが勝ったからと言って、別に俺が勝ったわけではない。というか明日の仕事休もうかな。

そう、俺は疲れているのである。

 

気づくと俺は電車に乗っていた。

目的地は「東能代駅」である。能代市は言わずと知れた能代工業でお馴染みのバスケの街だが、「風の松原」と呼ばれる日本最大級の防砂林があり、能代市の観光名所のひとつに挙げられている。いわゆるこの能代の癒しスポットで疲弊した俺の心と体を癒そうと思い立ったのである。

 

俺はさっそくJR奥羽本線東能代駅へと向かった。JR五能線の玄関口も担っている東能代駅に降りて、まず目についたのはバスケットリングである。

 

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さすがはバスケの街といったところだが、東能代駅能代市の都市部から離れていることもあり、駅前には商店街もなく閑静な住宅街が広がっていた。

 

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駅を出ると県道をまっすぐ歩き、囲炉裏カフェ「CoCo」を目指した。まずはこのお店で昼飯といこう。

 

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玄関口でお母さんが出迎えてくれた。もはやお店というよりも親戚の家に来たような感覚である。ひとまず囲炉裏の前に座り、お母さんの料理が出来上がるのを待つことにした。

 

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お母さんが料理を運んできてくれた。やはりお店で食べているというよりも、親戚の家で食べている感覚に近い。だがけして堅苦しい気持ちにはならずに不思議とリラックスできる。

温かいかぼちゃの味噌汁を味わいながら、俺は小さく頷いた。人は美味しいご飯を目の当たりにすると、黙って頷くものである。

 

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12時を過ぎると常連と思われるお母さん方もやってきて賑やかになってきた。東能代のマダムたちの憩いの場としても愛されているようである。

 

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 ■ 東能代の癒しスポット「風の松原」とは?

ご飯を食べ終えると、俺は五能線に乗って「能代駅」へと向かった。「東能代駅」と同様にこの駅でもバスケットリングが出迎えてくれた。

 

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能代市は人口約5万人。秋田の県北に位置し日本海に面した街である。そして大舘市が忠犬ハチ公ならば、やはり能代市は言わずもがなバスケットである。もはやバスケ中心に街づくりされていることは電車を降りた瞬間に感じ取ることができたが、駅前の風景は他の街同様少し寂しげである。

 

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風の松原に向かう途中、1軒の喫茶店を発見した。

 

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中に入ると常連らしき能代ダンディが一人コーヒーを飲んでいたが、間もなく会計の運びとなり、俺とママさんとのマンツーマンの形となった。そう、以前にも書いたが俺は大人なのに人見知りなのである。

 

「あら、このへんのひと、ではないわね?」

秋田市からです。今日はこれから風の松原に行って、それからどこかで一杯やって帰ろうかと」

「それはすごくいいプランね」

ママさんはそう言って笑いながらコーヒーを淹れてくれた。人見知りはとりあえず相手が笑ってくれると安心するものである。

「風の松原はいいところよ。私もよく行ったわよ、ワンちゃんを連れてね」

ふと横を見ると、営業時間が書かれた張り紙を見つけた。すでに閉店時間の14時を過ぎている。申し訳ないと思いつつもアイスコーヒーをストローですすりながら、コロナ禍の秋田県内の情勢、日本酒の話、そして伊勢谷友介大麻問題に至るまでをなぜかママさんと語り合った。人見知りは一旦心を許すと、犬のようになつくものである。

「なんだかいっぱい話しちゃったわね」

「楽しかったです。ではこれから風の松原に。ただこの後雨が心配で」

「どうかなぁ。天気予報は降るんだか降らないんだか。降らないといいわね」

優しいママさんの喫茶店を後にして、俺は再び目的地の風の松原に向かって歩き始めた。途中にあった公園にはしっかりとバスケットリングが設置されている。さすがはバスケの街・能代である。

 

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茶店から20分ほど歩いて、風の松原に到着した。

 

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先ほど囲炉裏カフェ「CoCo」のお母さんから頂いたパンフレットによると、日本最大級の松林「風の松原」の面積は約760ヘクタール、東京ドーム163個分の大きさだという。もはや自分で書いていても全くピンとこない。とにかくスラムダンクの赤木キャプテンもビックリのデカさというのは理解できたが、その景色は確かに心癒されるものがあった。この日はすこし天気が心配だったが、能代市民たちがジョギングをしたり、ゲートボールを楽しんだり、思い思いに自然を満喫している。

 

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鮮やかな緑の風景と、優しい陽の光。そして鳥の鳴き声。圧倒的スケールの自然を目の当たりにして、この場所でならこんな俺でも前向きな気持ちになれる気がした。運動はとことん苦手だがここ風の松原でゲートボールをしたらホールイワンを狙える気がする。生まれてから一度も女にモテたことはないがここ風の松原で告白したらなんとなく成功しそうな気がする。そうか、これが俗にいうパワースポットというやつだな。

 

などとワケの分からないことを一人合点しながら歩いていると、大きな道路が見えてきた。どうやら風の松原の出口にたどり着いたようである。

 

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■ 地元の銭湯に浸かり赤提灯で一杯

俺は再び駅の方向へと向かって歩き出した。美味しいご飯を食べて、喫茶店でママさんと会話を楽しんで、さらには自然をも満喫する。我ながら今日は完ぺきな一日である。非常に調子が良い。今ならスリーポイントシュートとかも決められそうだ。後は美味い酒を飲んで帰るのみである。

 

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夕方までまだ少し時間があったため、銭湯に立ち寄って汗を流すことにした。地元のお父さんと一緒に熱いお湯に浸かり、歩き疲れた体を癒す。そして風呂からあがって団扇を扇ぎつつ本棚からヤングジャンプを取り出し西野七瀬のグラビアを眺める。これが大人の嗜みというものである。

 

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銭湯から出ると日が暮れていた。バスケの街・能代の旅は駅から少し歩いたところにある赤提灯の店で締めることにした。

 

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どうやら60代と思われるお母さんが一人で切り盛りしているようである。まだ6時前だったがすでに常連さんが一杯やっている。俺もお通しをつまみにビールを飲みながら黒板のメニューを眺めてみる。

 

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さんま、あゆ、かれい、ステーキ、全体的にメニューがざっくりしているのが気になったが、今宵はまず「いかごろやき」からスタートである。

 

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影響を受けやすい俺は、隣の常連のお父さんが注文したアスパラを真似して頼んでみた。

 

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「このへんのひと?学生?」

アスパラを肴にビールから芋焼酎に切り替えてチビチビやっているとお母さんに不意に話しかけられた。
「いや、学生ではないのですが、今日はなんというか、能代観光で……」

36歳の俺はもはやしどろもどろである。

「よかったら、これ食べれ」

そう言ってお母さんはイカのから揚げをサービスしてくれた。

 

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今宵はお母さんが強い火力で豪快に焼いてくれたステーキを芋焼酎の水割りで流し込んでフィニッシュ。赤ちょうちんのお店で食べるステーキは格別だった。

 「ステーキ、うめが?」

「うん。旨いです」

 お母さんも俺もそれ以上のことは言わない。それだけで十分なのである。

 

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36歳。最近の俺はなんだか疲れている。たいして仕事もできず、金もなければ女もいない。ついでに髪の毛も風前の灯って、もはや意思の弱い人間なら死ぬレベルである。

だがこんな俺でも「今日は悪くない1日だったな」と思う日がある。例えばそれは今日だったかもしれないな。

 

帰り際「電車で飲んでいけ」とお母さんにもらった「おーいお茶」を飲みながらそんなことを思った。

 

さて、今回は疲れ気味の心と体が癒されたKANEYANの秋田ぶらり旅。今日も良い具合に酔ったところで、ひとまずバスケの街に別れを告げて、次回は五能線をもう少し先に進んで白瀑神社を目指してみようか。

 

続く。